神玉遊戯
闇明かり 1
薄闇にくるまれて、まどろみに沈んでいると、ふと、まぶたの向こう側のざわめきが大きくなった。
ぼう、と光が灯り、揺れる。
からり、と音がする。
それに引き寄せられるかのように、彼は眠りから抜け出した。
◇
冬も半ばの新月の夜。
その闇に紛れるようにして、異形のものは集い、列を成して練り歩く。そして、一つの目的地へと進んでいく。
――百鬼夜行。
夜に明かりの絶えない現代でも、それは人の気付かぬところで続いていた。
草木も眠る丑三つ時、ようやく彼らは動き出す。
人の世を渡る間は、気取られぬよう静かに進み、『はざま』を越えて向こうがわに入れば、我先にと騒ぎ出した。
『やれ、夜行だ夜行だ』
『今宵はどこまで歩くじゃろ』
『山の向こうか、雲の切れ間か』
『やれ、夜行だ夜行だ』
集まった者は皆、赤い光をぼんやりと灯す鬼灯を持っている。それが、夜行に加わる者の目印なのである。
夜行とは、異形のもの達にとっては、祭りのようなものだ。
普段は街の明かりを避け、逃げるようにして方々へと散っている仲間が、この夜だけは一堂に会することができる。
久方ぶりに会う友を隣にして歩けば、自然と気分も浮き足立つというものだ。
その中に今日は――否、今日も「人」が混ざり込んでいた。